予防接種について -2017年1月31日掲載-

予防接種とは?

子ども、特に小学校入学前のお子さんは、病気に対する抵抗力が未発達なため、さまざまな感染症にかかります。感染していくことで免疫をつけながら成長していくのですが、風邪のように軽い病気だけではありません。

中には確実な治療法がなく、深刻な合併症や後遺症を引き起こす病気、命にかかわる病気もあります。そうした感染症は、かからないようにまず予防することが大切です。

そのために、予防接種を行います。毒性を弱めた病原菌(ウイルスや細菌)や毒素を、前もって投与しておくことによって抵抗力をつけ、その病気にかかりにくくすることを予防接種といい、投与するものをワクチンといいます。

ワクチンの同時接種

子どもを確実に守るためには同時接種が必要です。

ワクチンは、生ワクチンと不活化ワクチン(トキソイドも含む)に分けられます。予防接種を受けてから次の予防接種までの間隔は、原則として生ワクチン接種後は4週間(中27日)以上、不活化ワクチン接種後は1週間(中6日)以上です。生ワクチンと不活化ワクチンを受ける場合、不活化ワクチンを先に受ければ、1週間後に生ワクチンが受けられます。生ワクチンを先に受けると、4週間後までは不活化ワクチンを接種できないことになり、両方の免疫を獲得するまでに時間がかかります。
日本の赤ちゃんが0歳で接種するワクチンは種類も多く、接種回数は15回以上になります。0歳で受けるBCGやロタウイルスワクチンは生ワクチンのため、接種後は4週間あけなければなりません。そのため、これらを1本ずつ単独で受けると、約5か月間にわたってほぼ毎週接種することになります。しかし、いつも体調がよいとは限りません。1本ずつ受けていては接種が遅れがちになってしまいます。

そこで、世界中で行われている有用な方法が同時接種です。同時接種で受けると、必要な免疫をより早くつけることができます。世界中の小児科医が同時接種を実施しているのは、予防接種スケジュールが簡単になり、接種忘れなどがなくなるだけでなく、早く免疫をつけるというワクチン本来の目的を果たすためには必要だからです。同時接種で受ける場合、本数や組み合わせの制限はありません。生ワクチンと生ワクチン、生ワクチンと不活化ワクチンの組み合わせもできますので、医師と相談しましょう。

新しいワクチン

最近は新しいワクチンが増えています。まず、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンです。ヒブと肺炎球菌は、ともに小さいお子さんがかかると髄膜炎や敗血症などの重症な感染症を起こすウイルスですが、これらの感染を防ぐワクチンです。かかる確率はそれほど高くありませんが、後遺症が残るおそれもある感染症です。
さらにロタウイルスによる胃腸炎では、乳幼児が感染すると嘔吐、下痢、発熱をきたし、脱水症になる危険性があります。その他、痙攣、腎障害を起こすこともあります。
この3種類のワクチン接種が行えるようになり、明らかに小児の重症な感染症が減ってきています。

また、2016年10月からは1歳未満でB型肝炎ウイルスの予防接種が定期接種(無料)となりました。B型肝炎は肝炎、肝硬変、肝がんに進行する恐れがありますので、是非接種してください。