インフルエンザの予防ワクチン・治療薬 2016 -2016年11月30日掲載-

インフルエンザと普通の風邪

季節性インフルエンザは流行性があり、いったん流行が始まると、短期間に多くの人に感染が広がります。日本では例年12月~3月が流行のシーズンです。

普通の風邪の多くは、のどの痛み・鼻水・くしゃみなどの症状が中心で、全身症状はあまりみられませんが、インフルエンザではそれらの症状の他に38℃以上の発熱や頭痛・関節痛・筋肉痛などの全身症状が現れます。

現在流行しているインフルエンザはA型・B型・C型に大きく分類されます。そのうち大きな流行の原因となるのがA型とB型です。近年、国内で流行しているインフルエンザウイルスは、A(HINI)亜型、A(H3N2)亜型とB型の3種類です。

インフルエンザの予防と治療薬

流行前の予防接種

インフルエンザを予防する有効な方法として、流行前のインフルエンザワクチン予防接種が推奨されています。

インフルエンザワクチンは感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化の防止に有効と報告されています。

ワクチンの接種量 及び 接種回数は、年齢により違います。

年齢 摂取量/回 回数
6カ月以上3歳未満の方 0.25ml 2回
3歳以上13歳未満の方 0.5ml 2回
13歳以上の方 0.5ml 1回

インフルエンザの予防ワクチン・治療薬

ワクチン接種により効果が出るまでに2週間程度を要することから、毎年12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。
尚、ワクチンの効果は5カ月程度です。

インフルエンザが流行している時の感染対策

  • 飛沫感染対策としてマスク着用
  • 外出後の手洗い
  • 適度な湿度の保持
  • 十分な栄養バランスのとれた食事
  • 人混みや繁華街への外出を控える

インフルエンザにかかった時の対応

  • 発症したら早めに医療機関を受診する
  • 安静にして睡眠、休養をとる
  • 水分を十分に補給する
  • まわりにうつさない様マスクをする
  • 人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場に行かない

インフルエンザの治療薬

現在発売されている主な抗インフルエンザウイルス薬は、タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタの4種類です。

4種類ともにノイラミニダーゼという酵素の働きを邪魔して、ウィルスをそれ以上増殖させない作用です。インフルエンザウイルスの量は発症後2~3日でピークに達し、その後は減ってきます。発症後48時間以内の服用が指示されているのはこのためです。

それぞれの薬には剤型、用法、用量に違いがあります。状況に応じて医師が適切に判断し、処方されます。効果的な使用のためには、用法用量、服用する日数などを守ることが重要です。

アビガンという薬もあります。上記の薬とは異なり、ウイルスの増殖時に必要なRNAポリメラーゼを妨害する薬です。ウイルスの増殖を直接抑えることで、重症であったり感染から時間が経ったりした場合でも効果があると言います。

「新型または再興型(過去に世界的に流行した)インフルエンザウイルス感染症(ただし他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分なものに限る)」に効能効果が承認されています。厚生労働大臣の指示があり初めて製造販売される薬で、通常時は流通していません。

インフルエンザに限らず、多くの病気の予防には、日頃の健康管理が大切です。