子供の夏風邪について -2016年8月31日掲載-

皆さんは“風邪は冬に引くもの”と思っていませんか?

インフルエンザなど冬に流行る風邪のウイルスは夏場の高温多湿の環境を好まず、増殖することができないため、夏にインフルエンザが流行ることはありません。
これとは逆に高温、多湿を好むウイルスも存在しており、そのウイルスによって引き起こされる症状が夏風邪といわれるものです。

今回は子供の代表的な夏風邪であるヘルパンギーナ、手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)について説明します。

子供の代表的な夏風邪

子供の夏風邪について

ヘルパンギーナ

主にエンテロウイルス群に属すコクサッキーウイルスが原因の感染症です。潜伏期間は2~4日くらいで突然高熱が出ます。特徴として口の中に水泡ができ、それがつぶれることで潰瘍になります。潰瘍になると痛みが出て、食べたり飲んだりすることが難しくなることもあります。

手足口病

コクサッキーウイルスによる感染症です。名前の通り、手足に赤いブツブツ(水泡)が出てくる病気です。手足だけでなく口の中やのどなどにも水泡ができることがあり、その場合は口の痛み、かゆみなどが出ることがあります。発熱する場合もありますが、熱が出ずに水泡だけができる場合もあります。

咽頭結膜熱(プール熱)

アデノウイルスに感染することでおきる発熱です。名前の通り夏場のプールの入ることで移りやすい病気ですが、プールに関係なく感染することも多いです。高熱が4~5日続き、のどが真っ赤になります。また目の充血や結膜炎が見られる場合もあります。

どこで病気をもらってくるの?

これらの病気は飛沫感染(感染者の咳、くしゃみ)や接触感染(咳鼻水のついたタオルやドアノブ等)で感染することが知られています。子供は無意識にいろいろな物に触るので、完全に感染を防ぐのは難しいかもしれません。

予防する方法としてはうがい、手洗いが最も重要になります。ウイルスが体に入っても発症前に外に出し、ウイルスの数を減らすことで感染を予防できます。また十分な休息と栄養を取って体力や免疫力を維持することも大切です。

病気にかかったら・・

今現在、夏風邪に特効薬はありません。基本的には咳鼻水など症状を抑える薬で症状を和らげた上で栄養を摂って安静にし、体力と免疫力を回復させることが治療につながります。また発熱による汗などで脱水になりやすいので水分補給も重要です。

ヘルパンギーナや手足口病では口の中に水泡ができるため、飲み込む際に痛みが生じ、食事や飲料が取りにくい状態になることがあります。通常の食事が難しい時には、おかゆや雑炊、スープ等の柔らかい物が、喉への刺激が少なく比較的食べさせやすいでしょう。また冷房の風は体を冷やし、免疫力を低下させるので注意してください。夜は冷房を使わないと眠れないことも考えられますので、冷房の風が直接当たらないように気を付け、心持ち高めの設定温度で使用するようにしてください。

夏風邪の症状は1週間程度でおさまっていくことが多いのですが、稀に重症化し、入院が必要な状態になることもあります。高熱が続く、下痢、嘔吐がひどい等、気になることがあれば、すぐに病院で見てもらったほうがいいでしょう。