湿布について -2016年7月30日掲載-

湿布の種類と構造

湿布にはパップ剤・テープ剤があり、両方とも構造は支持体・粘着剤・剥離フィルムによる3層構造です。支持体には不織布、ニット、プラスチックフィルムが使われます。粘着剤は、消炎鎮痛剤など有効成分が含まれる鎮痛消炎貼布剤の主要部分です。剥離フィルムは使用する前にはがす被覆物で、ポリプロピレン、ポリエチレン、セロファン、ポリエステルなどが使われます。

パップ剤は水分の配合量が多く、テープ剤は水分の配合量が少ないですがはがれ難さがあります。一般的にテープ剤のほうが粘着力は強いのですが、最近のパップ剤には粘着力が強い物も出てきています。

パップ・テープ剤の特徴

冷感パップ

水分を含みプルプルした触感で、スッとした貼り心地が特徴の湿布です。水分の蒸発とメントールで患部を冷やす作用があります。

温感パップ

唐辛子エキスを含み、皮膚刺激で血行を良くして温めるのが特徴の湿布です。注意点は貼ったまま入浴したり、はがした直後に入浴したりすると刺激を感じることがあるので、入浴の30分~1時間前にはがすのが良いとされています。

テープ剤

パップ剤よりよく伸び、はがれ難いのが特徴です。水分配合量は少ないので冷却効果は冷感パップより少ないですが、温感タイプのテープ剤は温感パップと同じ皮膚刺激で血行を良くすることができます。

疾患ごとの使い分け

湿布について

湿布は特徴があるので疾患別に使い分けることができます。

冷感パップはメントールや湿布に含まれる水分を蒸発させて、患部とその周辺を冷やすので、患部を氷などで冷やすと気持ち良い打撲・捻挫など、発熱を伴う急性疾患に向いています。

温感パップは唐辛子エキスが皮膚を刺激して、患部とその周辺を暖めて、血行をよくするので、お風呂や温めたタオルで気持ち良い腰痛・肩こりなどの慢性疾患に向いています。

テープ剤ははがれにくいのが特徴なので、膝・肘などよく動かす部位に向いている湿布です。水分配合量が少なく冷却効果は冷感パップより低いので、慢性疾患によく使われます。

湿布の注意点

湿布は皮膚に密着させて使うため、かぶれることがあります。かぶれ以外にも抗炎症剤のケトプロフェンを含む湿布で、貼付後に紫外線に当たると、光過敏症という副作用を起こす薬もあります。紫外線の照射量が多い春から秋の時期に好発します。

湿布を使う時の注意点

  • かぶれ予防のため、患部をよく拭いてから使用してください。毎日テープ剤を張る場合は、皮膚を休ませるために少し時間を空けて貼り、はがした後は患部を拭いてテープ剤の残りを取り除いて下さい。またはがした後は保湿を行うと良いでしょう。
  • 入浴する30分前~1時間前にはがすようにして下さい。
  • はがすときは皮膚・体毛に沿ってはがして下さい。はがしにくい時は無理にはがさずに、水で湿らせるとはがしやすくなります。
  • 毛深い所への使用は薬剤が皮膚に到達しにくいので、除毛をするか、ローションタイプへの切り替えが良いと思われます。

光過敏症を防ぐには

  • 貼った所を日光に当てないように、サポーター、長袖やスラックスで貼った所を日光からさえぎるのが大切です。
  • はがした後も患部に薬が残っているので、貼付後約4週間は紫外線を浴びないようにすると良いです。

もし、貼った場所に紫外線を浴びた後に皮膚がかゆみ・赤くなる、ぶつぶつができる、体液などが急に出てくることがあれば、症状が軽くても皮膚科の専門医に受診しましょう。

かぶれは全員に起こる訳ではないのですが、そのまま放置し薬を使い続けると症状がひどくなることもあるので、早めに医師・薬剤師にご相談ください。