インフルエンザに関するQ&A -2014年12月30日掲載-

今年もインフルエンザが流行する季節になりました。
薬局でも、インフルエンザの症状で医療機関を受診された患者さまの数が増えてきています。風邪との違いや予防方法などを改めて確認し、早めの対策をとりましょう。

Q.1:普通の風邪とインフルエンザの違いは?

A.1:風邪は様々なウイルスに感染することによって引き起こされます。多くはのどの痛みや咳・くしゃみなどの症状が中心で、全身症状はあまり見られず、重症化する危険性もそれほど高くはありません。

一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することで起こり、38度以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が急に現れます。また、風邪の諸症状と共通する咳やのどの痛み、鼻汁といった症状も見られます。

Q.2:インフルエンザの流行する時期は?

A.2:インフルエンザは流行性疾患です。感染力が非常に強いため、いったん流行が始まると短期間で感染が拡大します。日本では、例年12月から3月頃に流行します。

Q.3:インフルエンザにかからないためには?

A.3:インフルエンザ予防に有効な方法としては、以下が挙げられます。

①流行前のワクチン接種

インフルエンザワクチンはウイルスへの免疫力を高め、感染後に発病する可能性を低減する効果と、発病してしまった場合の重症化を防ぐ効果が認められています。ワクチン接種から効果が発現するまでには2週間ほど要するため、毎年10月以降・12月中旬までに予防接種を終えることが望ましいと考えられます。

②咳エチケットで飛沫感染対策

インフルエンザの主な感染経路は、咳やくしゃみの際に口から発生する小さな水滴による飛沫感染です。したがって、飛沫を抑えることで感染拡大の防止につながります。そこで、インフルエンザの飛沫感染対策として、以下を守るように心がけてください。

  • 他の人に向けて咳やくしゃみをしない。
  • 咳やくしゃみが出る時はできるだけマスクをする。(マスクがなければ、口や鼻をティシュなどで覆う)
  • 手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗う。

③外出後などの手洗い

外出後やトイレの後、食事の前などこまめに手洗いを行いましょう。流水・せっけんによる手洗いは、体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去する有効な方法であり、インフルエンザに限らず、接触を感染経路とする感染症対策の基本です。また、アルコールを含んだ消毒液で消毒するのも効果的です。

④適度な湿度の保持

空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下して、インフルエンザにかかりやすくなります。乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って50~60%の適切な湿度を保つことも効果的です。

※気道とは、肺に通じる空気の通り道です。鼻腔(びこう)・口腔・喉頭(こうとう)・気管・気管支などからなります。

⑤十分な休養、バランスのとれた栄養摂取

体の抵抗力を高めるため、日頃から十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を心がけましょう。

⑥人混みや繁華街への外出を控える

インフルエンザが流行してきたら、特にご高齢の方や基礎疾患のある方、妊娠されている方、疲労気味、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出する場合には、防御策としてある程度の飛沫などを防ぐマスクを着用し、人混みに入る時間は極力短くしましょう。

※基礎疾患とは、その人が元々もっている慢性的な病気、いわゆる持病のことです。ここでは、慢性呼吸器疾患・慢性心疾患・糖尿病・腎機能障害・免疫機能不全などを指します。

Q.4:インフルエンザにかかってしまったら

A.4:

  • 具合が悪いな、と感じたら早めに医療機関を受診しましょう。
  • 安静にして休養をとりましょう。特に睡眠を十分にとることが大切です。
  • 水分補給をしましょう。お茶、スープなど、飲みたいもので結構です。
  • 咳やくしゃみで周りの方にうつさないために、マスクを着用しましょう。
  • 人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校・職場などに行かないようにしましょう。

Q.5:インフルエンザの治療薬は?

A.5:インフルエンザに対する治療薬としては、下記の抗インフルエンザウイルス薬があります。

  • オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)
  • ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)
  • ペラミビル水和物(商品名:ラピアクタ)
  • ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル)
  • アマンタジン塩酸塩(商品名:シンメトレル等)

抗インフルエンザウイルス薬はウイルスの増殖をおさえます。発症から2日(48時間)以内に服用開始すると、発熱期間は通常1~2日短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量が減少します。

2日を過ぎて服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。効果的な使用のためには、用法・用量・期間(服用する日数)を守ることが重要です。高熱、頭痛・関節痛などインフルエンザの主症状がある時は早めに医療機関を受診しましょう。

Q.6:インフルエンザにかかった場合、どのくらい外出を控えればよいでしょう?

A.6:インフルエンザを他の人にうつさないために、ウイルスを排出している間は外出を控える必要があります。一般的に、インフルエンザの発症前日から発症後3日~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれます。

ちなみに、学生さん(幼児、児童から大学生まで)は、学校保健安全法において「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」が原則的な出席停止期間と定められています。ただし、個人差がありますので、症状によって学校医その他の医師から感染のおそれがないと認められた時はこの限りではありません。