かぜについて -2014年10月31日掲載-

かぜとはどんな病気か

肺に出入りする空気の通り道を気道といいますが、鼻や口から声帯までを上気道、その奥の気管支を下気道といいます。かぜは上気道の炎症性の病気なので上気道炎ともいわれます。下気道の炎症は気管支炎であり、さらに奥にある肺の炎症は肺炎ですが、単純な気管支炎までをかぜという場合が多いようです。

症状は通常、体のだるさや寒気、のどや鼻の乾燥感などが1~2日続いたあと、のどの痛みや鼻水、鼻づまり、頭痛、発熱などが現れます。そのまま治ることも多いのですが、引き続いて咳や白っぽい粘液のような痰が出たりします。咳や痰が出るのは炎症が下気道へも広がり始めたことを意味しており、発熱を含めて症状はさらに悪化します。

どうして症状が起こるのか

かぜとは上気道(鼻やのど)が微生物に感染することによって起こります。原因微生物の80~90%がウイルスです。まれに一般細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどによる場合もあります。

かぜウイルスの数は200種類以上といわれており、どのウイルスが原因で起こったのかを特定することは困難です。同じウイルスでもいくつもの型があり、それが年々変異するため、一度感染したウイルスに免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染して繰り返しかぜをひいてしまいます。

ライノウイルス
かぜの原因の約30~40%を占めます。秋や春に多く、主に鼻かぜを引き起こします。
コロナウイルス
ライノウイルスの次に多く、主に冬に流行します。鼻やのどの炎症を起こし、症状は軽めです。
RSウイルス
年間通して流行しますが冬に多く、乳幼児に感染すると気管支炎や肺炎を起こす場合があります。
アデノウイルス
冬から夏にかけて多く、プール熱の原因になります。咽頭炎や気管支炎、結膜炎なども起こします。
エンテロウイルス
夏に流行するウイルス。かぜの症状のほか、下痢を起こしたりします。

体がウイルスと戦っていると、粘膜内部の組織に炎症が起こり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。のどは粘膜の炎症が起こり、咳や痰で異物を外へ出そうとします。発熱はウイルスの侵入により体に異変が起こったことを知らせると同時に、自分で自分の体を治そうとする免疫の働きが活発になっているサインです。

かぜを予防するには

かぜは人から人へうつるものです。かぜを予防するには、流行期は人ごみを避け、衛生面に気を配って感染ルートを遮断するのが第一です。

  • 感染者が咳やくしゃみをするとウイルスを含んだ唾液や鼻水が飛沫となって飛び散るので、かぜをひいている人に近づかないようにしましょう。
  • 空気中に飛散したウイルスを吸い込むだけでなく、電車のつり革や室内の家具などに付着したものを触った手を介して感染することも多いため、手洗いも大切です。
  • うがいはウイルスを落とす効果はありませんが、ホコリや細菌を洗い流してのどや口腔内の粘膜にウイルスが付着するのを防いでくれます。

空気中のウイルスを完全に遮断することは難しいことです。日ごろから感染しにくい環境や体をつくるよう気を付けましょう。

  • 空気が乾燥すると、鼻やのどの粘膜が乾燥して体の防御機能が低下し、ウイルスに感染しやすくなります。また、夏場の冷房や冬の寒さなどで体が冷えると、血液循環が悪くなりウイルスが侵入しやすくなります。室内の温度や湿度を適度に保って、感染しにくい環境を整えましょう。
  • かぜの予防効果を高めるためには、体の免疫システムに欠かせないビタミンCと体のエネルギー産生に必要なビタミンB1群、鼻やのどの粘膜を強化する働きのあるビタミンB2、B6を多くとることがポイントです。アミノ酸の豊富な動物性タンパク質を食事に取り入れるのも効果的です。
  • ウオーキングや水泳、ヨガなどの適度な運動でかぜに負けない体力をつけ、免疫力を高めることも大切です。