潰瘍性大腸炎について -2013年2月28日掲載-

潰瘍性大腸炎とは

大腸の粘膜に炎症が起きて、腹痛や下痢・血便が起こる病気ですが、炎症の起きる原因がよく分かっておらず、厚生労働省によって特定疾患に指定されています。

年々、患者数が増加しており、男女ともに20~30歳代の発症が多くなっています。また、小児や50歳代以降でも発症することがあります。

症状

潰瘍性大腸炎では、大腸の粘膜に炎症が起き、粘膜がはがれたり(潰瘍)ただれたり(びらん)しています。
このため、お腹が痛くなったり、頻繁に下痢をしたり、時には粘膜から出血をして血便が見られます。

粘膜の炎症は、外敵から身体を防御するためにはたらく免疫系が何らかの異常により自分自身の腸管粘膜を攻撃しているために起きていると考えられていますが、はっきりとした原因は分かっていません。

潰瘍性大腸炎の多くは、大腸に炎症があって自覚症状のある「活動期」と大腸の炎症が治まって症状がなくなる「寛解期」を繰り返します。
活動期は以下の症状を起こします

  • 食欲不振
  • 腹部不快感
  • 腹痛
  • 下痢
  • 粘血便

薬物治療

潰瘍性大腸炎の治療は、近年大きな進歩をとげ、ほとんどの患者さんが薬による治療で症状が治まった「寛解」という状態になることができます。
寛解になれば、治療をきちんと続けていくことで病気になる前と変わらない生活を送ることができます。

代表的なお薬

5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤
大腸の粘膜に直接はたらき、炎症をしずめるお薬です。活動期の炎症を抑えるために使われるだけでなく、寛解期の維持にも用いられます。
ステロイド製剤
炎症を抑える薬として非常に有効です。活動期に用いられますが、寛解を維持する効果はないと考えられています。
その他
免疫調節剤や抗体製剤を使用することもあります。

潰瘍性大腸炎の多くは、活動期と寛解期を繰り返す経過をたどることから、寛解したあとも寛解状態を長く維持できるよう、薬を継続して飲むことが必要です。
ある2年間の調査研究では、寛解を維持できた人の割合が薬(5-ASA製剤)をきちんと飲んでいた患者さんで約9割だったのに対し、飲み忘れが多かった患者さんでは約4割にとどまりました。
つまり、飲み忘れが多かった患者さんのうち約6割が2年間のうちに再燃(寛解期から再び活動期に移行すること)してしまったのです。
症状がなくなると薬のことを忘れがちですが、寛解状態を維持するためにも薬はきちんと服用しましょう。

食事について

活動期は食事が症状や全身の状態に大きな影響を与えるため、食事に注意することが特に重要になります。活動期では腸管からの栄養の吸収が下がり、体力を消耗しがちです。
また、下痢で水分や電解質も失いやすいことから、おかゆや麺類などエネルギー・水分・塩分を補給できる食事が勧められます。
たんぱく質としては、卵・大豆食品・魚類が勧められます。腸に負担をかけ、下痢や腹痛を悪化させる高脂肪食・食物繊維・香辛料・アルコール類・炭酸飲料は控えなくてはなりません。
寛解期には厳しい食事制限はありませんが、適量で栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。