肺炎と肺炎球菌ワクチン -2012年3月30日掲載-

肺炎とは

肺炎とは、何らかの病原菌が肺に入り、肺胞(肺にある小さな空気の袋)とその周辺に急性の炎症を起こす感染症です。

肺炎の原因には多くの種類があります。肺炎球菌のような細菌性肺炎、ウイルス性肺炎のほか、マイコプラズマ菌、真菌といった微生物による感染症のようなもの、間質性肺炎のように非感染症のものも含めて、広く肺の炎症性疾患を肺炎と呼んでいます。

肺炎は、日本人の死因の4番目に挙げられます。とくに高齢者の方は、免疫力が低下しているので、感染をおこしやすく肺炎にかかりやすくなります。高熱や咳や膿性の痰、呼吸困難など典型的な症状が乏しいことがしばしばあり、肺炎と気づかないまま進行し重症化しやすくなります。一般的に高齢者の方は、糖尿病や心臓病、慢性呼吸器疾患などの合併症をもっていることが多く、そのため肺炎による死亡率は年齢とともに高くなっています。

肺炎球菌ワクチン

「肺炎球菌ワクチン」は高齢者の肺炎の原因となる病原体のなかで、最も頻度の高い「肺炎球菌」という細菌を狙った予防ワクチンです。特に感染を起こす肺炎球菌の中で、その頻度が高く重い症状を起こす23種類の型に効果があります。
このワクチンは、予防効果とともに肺炎球菌によって引き起こされるいろいろな病気(感染症)の重症化を防ぎます。ただし、すべての肺炎を予防するものではありません。

ワクチン接種について

  • 季節を問わず接種可能です。免疫ができるまで3週間ほどかかります。
  • 1回の接種で5年以上免疫が持続すると言われています。
  • 当日発熱があるなど体調の悪い方は受けることができません。
  • 予防接種後の、注射部位の腫れや痛み、まれに発熱などがみられますが、通常2~3日で治まります。
  • インフルエンザなどのワクチン接種をする場合は、1週間以上あけてください。

特に肺炎球菌のワクチン接種が奨められている方

  • 65歳以上の方
  • 慢性呼吸器疾患(COPDなど)の方
  • 糖尿病の方
  • ホームや施設などに入居されている方
  • 慢性心不全の方
  • 肝硬変などの慢性肝疾患の方
  • 免疫抑制療法のため感染症にかかりやすい方
  • 脾臓摘出などで脾臓機能不全のある方

肺炎予防

規則正しい健康的な生活をおくる
適度な運動、バランスのとれた食事、十分な睡眠
喫煙者は禁煙しましょう
タバコの吸いすぎはよくありません
誤嚥(食べたものや飲んだものが誤って食道ではなく気管に入ってしまうこと)を防ぎましょう
口に中を清潔に保ちましょう
歯磨きは口からの細菌侵入を防ぎます(口腔内の細菌を減らす)。
寝る前の歯磨きをおすすめします。歯と歯の間や歯茎、それと舌もきれいにしましょう
基礎疾患を治療しましょう
ワクチンの予防接種
肺炎のすべてを予防できるわけではありませんが重要です。

特に風邪やインフルエンザにかかった後は体力が低下し、肺炎にかかりやすくなっていますので、2~3週間は体を温かくして睡眠と食事、水分をきちんと摂り体力を回復しましょう。

肺炎球菌ワクチン公費助成について

例外(脾臓を摘出されている方)を除いて、健康保険の対象になっていないため、自費で受けることになります。最近では費用の一部を公費負担で援助しようとする地方自治体が増えていますので、自治体にお問い合わせください。