過活動膀胱ってなに? -2010年9月30日掲載-

「トイレが近い」ことを「歳のせい」とあきらめていませんか?

でもそれは、病気かもしれません。

夜、何度もトイレに起きて眠れない、仕事や会議のときにすぐトイレに行きたくなる。

急にトイレに行きたくなり間に合わないとヒヤヒヤするなどする人は、過活動膀胱の可能性があります。

過活動膀胱とは

「尿意切迫感」があり、「頻尿・夜間頻尿」や時に「切迫性尿失禁」がある状態を言います。

尿意切迫感
それまでなにもなかったのに突然トイレに行きたくなり我慢が難しい症状。
頻尿・夜間頻尿
日中8回以上トイレに行く、夜中に1回以上トイレに起きる症状。
切迫性尿失禁
急におしっこがしたくなり、トイレが我慢できず、もれてしまう症状。

過活動膀胱が起こるしくみ


膀胱が異常な働きをすることで起こります。膀胱が勝手に縮んだり、過敏な働きをするために、尿が充分たまっていないうちに急にがまんできない尿意が起こります。

男性の場合は、前立腺の肥大が原因で、尿が出にくい状態が続き、膀胱が過敏に働くようになることがあります。高齢男性の過活動膀胱の原因として最も多いです。

女性の場合は、骨盤底筋のトラブル・出産や加齢が原因で、子宮、膀胱、尿道などを支えている骨盤底筋と呼ばれる筋肉が弱くなることがあります。

男女とも、脳卒中の後遺症が原因で、脳と膀胱の筋肉を結ぶ神経回路に障害がおきる場合があります。

治療について

アルファ1ブロッカー

男性の場合で前立腺肥大がある場合は、アルファ1ブロッカーと言う薬が使われます。

この薬は、前立腺を収縮させるノルアドレナリンと言う物質の働きを抑え、前立腺の過剰な収縮を抑えます。

他に漢方、男性ホルモンの働きを抑える薬などがあります。

抗コリン薬

前立腺肥大のない患者様や、女性の方に処方されることがあります。膀胱を収縮させる「アセチルコリン」という物質の働きを抑えて、過敏な収縮や尿意を抑え、膀胱に尿をためやすくします。

この薬は従来の薬に比べ、口が渇く副作用は少ないですが、まれに口が渇くことがあります。その時は、水を多く取らずに飴などを口に含み、唾液分泌を促進しましよう。

生活での予防

  • 過度の水分摂取を控える
  • コーヒーや紅茶など利尿作用のある飲料は控える
  • 下半身を冷やさないにする

膀胱訓練

トイレに行きたくなるのを我慢する訓練で、膀胱の容量を増やすために行います。

始めは、短時間から始めて15分から60分単位で尿意をこらえる時間を延ばし、最終的に2時間から3時間の排尿間隔が得られるよう訓練をしていきます。

骨盤底体操

肛門、尿道、膣の周りの筋肉(骨盤低筋)の収縮を強くすると、尿が我慢できるようになります。基本は仰向けで足を軽く広げ、膝を曲げた状態で肛門や膣を長く(5~10秒)締めたりを20~30回、次に早くしめたりゆるめたりを繰り返し、腹部や太ももの筋肉に力を入れずに締めます。規則正しく、最低3ヶ月は頑張りましょう。

他にも良く似た症状で尿が出にくい症状の病気があります、恥ずかしがらずに主治医にご相談し検査を受けてみてはいかがですか。外出や睡眠も楽になるかもしれませんよ。
「『トイレが近くて』困っていませんか」「過活動膀胱・前立腺肥大症の患者様へ」「排尿日誌をつけましょう」/アステラス
Credentials 2010年8月号