痛風について -2009年9月1日掲載-

痛風とは、血液中の尿酸値が高くなった高尿酸血症から急性の関節炎を起こす疾患群の総称です。尿酸生成の増加、尿酸排泄の低下など尿酸代謝の過程に異常が起こり、血清尿酸値が7.0mg/dlを越えると高尿酸血症となり、痛風の下地が出来ます。

痛風は足の激烈な痛みのために歩行できなくなる病気として紀元前から知られ、現在の日本では約60万人の患者が外来通院し、さらに増加傾向にあります。

原因としては、肉類などプリン体の多い食品の摂り過ぎ、体質素因、ストレス、アルコール飲料の過剰摂取、肥満などがあります。

症状は?

病期は無症候性高尿酸血症期(初期)、急性関節炎発作期(中期)、慢性関節炎発作期(末期)に分かれます。
痛風

無症候性高尿酸血症期
初期は血清尿酸値が7.0mg/dl以上あっても全く症状がない時期で、数年から数十年続く人もいます。
急性関節炎発作期
中期は痛風発作として知られている、ある日突然に手足の末端の小関節の急性関節炎が起こる時期です。足の親指の関節が痛み始めることが多く、激しい痛みのため起立出来なくなることもあります。この関節炎は、一般に1週間くらいで消失します。治療を始めないと急性関節炎が起こる期間がだんだん短くなってきます。
慢性関節炎発作期
末期は関節炎発作が相次いで発生し、どこかの関節が常に侵されている時期です。この時期になると、痛風結節が出来たりします。またこの時期には、尿路結石が出来て、急激な腹部激痛、血尿、発熱などの結石症状を起こす割合も高くなります。その結果、腎機能が低下し、血圧上昇、浮腫、心悸亢進などを呈し尿毒症になります。

治療方法は?

急性関節炎発作時には、罹患部を高く上げ、うっ血を避け、鎮痛消炎剤の投与を行います。そして、罹患部に冷シップなどを行います。通常は3~4日で症状は消失します。この時には、一般的にコルヒチン、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイドが用いられます。また、コルヒチンは発作の予感があった時に投与すると発作を避けることが出来ます。

症状がない時の治療には、高尿酸血症の治療と尿路管理になります。尿酸の生成阻害剤と排泄促進剤があるので、それぞれの型に合わせ投与を行います。また十分の飲水と尿pHを測定することにより、1日2Lの中性尿が出るようにすることが尿路結石、腎障害の発生予防に役立ちます。

食事で注意する点は?

プリン体は、元々体内にも存在しており、日々の食事にも大なり、小なり入っています。食品中のプリン体が分解された最終産物が尿酸になりますので、尿酸値が高い人はプリン体を多く含む食品を控える必要があります。

プリン体は、以下のような動物性食品に多く含まれます。

  • あん肝
  • レバー
  • モツ
  • 白子
  • 牛肉ヒレ
  • ロース
  • えび
  • かにみそ
  • 魚の内臓 他

また、アルコールは肝臓での尿酸産生を増加させ、アルコールが体内で分解される時に作られるアセトアルデヒドは腎臓からの尿酸排泄を阻害します。またアルコールの飲み過ぎは、高エネルギーとなり、エネルギー過剰につながり肥満の原因になります。これらのことからも、高尿酸血症の人は蒸留酒、醸造酒など種類に関係なく飲酒の制限が必要になります。特にビールは他のアルコール飲料と比べてプリン体が多く、エネルギーも高いので特に控えましょう。

そして、水分を多く摂り、尿量を多くすることで尿酸の排泄を良くし、尿中の尿酸を薄めるようにしましょう。特にカロリーのない水やお茶を十分に摂りましょう。

最後に、野菜はビタミン、ミネラルを多く含むアルカリ性食品です。尿酸は、酸性のためアルカリ性、中性によく溶け出します。尿酸の排泄を促進させるためにも、野菜、果物、イモ類などのアルカリ性食品を十分に摂りましょう。