認知症について -2007年3月1日掲載-

認知症とは?

認知症とは脳の病気であり単なる物忘れではありません。同じことを何度も聞いたり、質問したり、自分が話したことを忘れ、何度も同じ話をしたりします。特に日付や場所が覚えにくくなり、進行すると体験したこと自体忘れてしまいます。

認知症の原因は大きく2つに分けることができます。

アルツハイマー型認知症
脳の異常な老化によって起こり、65歳以上の女性に多い病気です。症状が進行すると、人格が明らかに変わり、知能は全面的に低下します。また、詳しい原因がわかっていないため、治療の効果はあまり期待できません。
脳血管性認知症
脳の血管障害が主な原因で、50~60歳以上の男性に多い病気です。症状が進行しても人格はあまり変化せず、知能の低下も少ないことが多いです。また、治療方法によっては症状が改善することもあります。

認知症は薬で治せる?

最近では早期のアルツハイマー型認知症になら効く薬ができています。脳血管性認知症でも、薬の服用により症状はかなり改善されることもあります。以下にそれぞれに効く薬を紹介します。

アルツハイマー型認知症
抗痴呆薬(アリセプト)、ビタミンB12、卵黄ホスファチヂルコリン
脳血管性認知症
脳循環改善薬(サアミオン)、脳代謝改善薬(シンメトレル)、抗うつ薬(ルジオミール、トフラニール)、向精神薬(グラマリール、セレネース)

また、黄連解毒湯、釣藤散など認知症に有効な漢方薬もあります。民間療法では、いちょう葉エキスの含まれる健康食品が認知症に有効であるとされています。いちょう葉エキスには、脳の血液循環をよくする作用が認められており、アルツハイマー型と脳血管性の症状の改善に期待されています。

認知症の人とどう付き合うか

認知症の人の症状や行動は周りの人を混乱させます。ときにはイライラすることもあるかもしれませんが、怒るよりも認知症とは何かを良く理解し、ひとりの人格として尊重し、接することが大切です。生活面では過保護になりすぎないように注意しましょう。日常生活の中で本人にできることは、できるだけしてもらうことが、残された能力を生かすことになり、症状の進行を遅らせることに繋がります。また認知症の人をひとりで放っておかないように注意しましょう。刺激が少なくなり症状の進行が早くなってしまいます。常に誰かがそばにいて、話し相手になってあげましょう。さらに転倒や誤食、入浴中の事故など、家の中は危険なことだらけです。高齢者、特に判断力が低下している人には、同居している家族が注意を払い、事故を未然に防ぎましょう。

認知症を予防するには?

認知症
認知症を予防するには日々の生活で、脳が老化していかないように注意していく必要があります。

社会活動、趣味に取り組もう

料理、旅行、ゲートボールなどの趣味をもつことや、囲碁、将棋など頭を使うゲームは計画力や思考力を多く使うため、発症を遅らせる効果が期待できます。複数のことを意識して同時に行うことも、注意力の低下に効果があるといわれています。

有酸素運動が効果的

ウォーキングやサイクリング、体操などの適度な運動を行うことで体の血液循環がよくなり、認知症予防につながるとされています。

食生活を見直そう

食事はバランスよく摂ることが大切です。野菜や果物に含まれるビタミンC、ビタミンE、βカロテンの抗酸化作用は認知症予防に効果があります。また、サバ、アジ、マグロなどの青魚に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれる不飽和脂肪酸には、脳の神経伝達をよくする働きがあります。