お子様へのお薬の飲ませ方 -2004年1月1日掲載-

私達の薬局は、小児科の患者さまが多く、お母様から「うちの子、薬が嫌いでうまく飲んでくれないの。」「病気の症状がおさまったらのまなくてもいいの?」などというご相談をよくお受けします。

そこで、日頃薬について疑問に思っていることやお子様にお薬を飲ませるのに苦労しているお母様、お父様の手助けになればと思い、私達が薬局でお話ししている内容についてご紹介したいと思います。

薬は、いつのんだらいいの?

服用時間の目安
食前 食事の30分前に服用
食後 食事の30分後に服用
食間 食事の2時間後に服用
~時間毎 一定の間隔で服用
頓服 必要に応じて服用
就寝前 寝る30分前に服用

お子様へのお薬の飲ませ方
お薬の袋には用法、用量が書いてあります。まずはそれをみて飲み方を確かめ、時間を守って服用してください。

用法には「食事」と書いていますが、忘れないように食事の時間をあげているだけなので食事をする、しないに関係なくお薬を服用してください。“一日3回食後服用”のお薬の場合、食事を2回しかとらなかったので2回しか服用しないというのは間違いです。

小さいお子様の場合には、起きている間の朝頃、昼頃、夜頃で結構です。食後はおなかがいっぱいになり飲んでくれないことがあるので注意して下さい。寝ているときは、わざわざ起こさずに起きてからあげてください。

飲み忘れたらどうすればいいの?

気づいた時に飲ませてください。ただし次の服用時間が近いときは、忘れた一回分を飲ませないで下さい。(通常、一日3回服用のお薬は約4時間、鎮痛薬では約6時間あいだをあけます。)次の服用時間にはその回、1回分のお薬を飲みます。忘れたからといって、一度に2回分飲むのはいけません。

治ったらのまなくていいの?

症状がおさまったからといって、まだ完治はしていないので医師の指示があるまでは服用してください。急に止めてしまうと、完治目前までいったのにまたぶりかえしてしまう恐れがあります。ただし医師の指示があった場合や、症状をとるための薬の場合は止めていただいても結構です。

薬はどこで保管したらいいの?

粉薬、錠剤、カプセル剤は、もらった薬袋にいれて湿気、日光、高温を避けて缶(箱)に入れお子様の手の届かない所に保管してください。この時、なんの薬か書いておくと便利です。水薬は冷蔵庫で保管し、凍らせないようにしてください。

お薬は、処方された「その人のその時」のためだけのものです。残ったお薬はすてたほうがよいでしょう。

子供が薬を飲んでくれないの。いい方法はないの?

乳児の場合

お子様用のお薬としては、水薬(シロップ薬)と粉薬がよく出されます。水薬の場合は、そのままスポイトやスプーン等を使って飲ませてもよいし、シロップの糖分が濃すぎてむせるようならばミルクや湯冷ましでうすめて飲ませてください。粉薬の場合は、そのままでは飲ませにくいので、ミルクや湯冷ましに溶かし、スポイトやスプーンを使って与えるとうまく飲めると思います。

ここで注意することは、一回量がしっかり飲みきれる量にすること。また、ミルクなどに溶かす場合には、ミルクの味が変わってしまいミルク嫌いになることがあるので、少量のミルクに溶かしてお薬を飲ませた後、おいしいミルクを十分与えることが大切です。

また、粉薬に苦味があり飲みにくい場合は、数滴の水でお薬をだんご状にし、舌に触らないように上あごにこすりつけます。その後、湯冷ましなどで流し込むと飲みやすいでしょう。

小児

ひとつの方法としては、「混ぜる」ことです。冷たい物や、甘味が強い物が適しているので、アイスクリーム・ヨーグルト・生クリーム・牛乳・ジュースなどに混ぜてあげましょう。また、薬局・薬店・ドラックストアで売っている「ゼリー状のオブラート」を使うという方法もあります。ただし粉薬の場合、苦味をコーティングしているものや酸味のある飲食物で苦味がでるものもあるので、混ぜるものには注意が必要です。

また、「凍らせる」方法もあります。凍らせることによりお薬の味や苦味を感じにくくなります。水薬や粉薬の1回分ずつを水、ジュース、チョコレートなどに溶かしてから凍らせ、お子様にお菓子感覚で与えるのも一つの方法です。

最後に、お子様にお薬を飲ませるのに一番大事なことは、なぜ薬を飲まないといけないのかということをお子様本人に理解してもらうということです。なかなか難しいことですが、本人の自尊心をくすぐるようにご家族の方が優しくお話して納得させ、飲めたら「すごく誉めてあげる」ことでうまくいくこともあります。

以上、小さなお子様をおもちのお母様、お父様からからのよくある質問をご紹介しました。このほかにも困ったことがあれば、私たち薬剤師が親身になってご相談にお答えいたします。

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