診療所の報酬引き下げ提言=現役世代の保険料負担軽減―財政審建議

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は20日、2024年度予算編成に向けた建議(意見書)をまとめた。社会保障分野で現役世代の社会保険料負担を軽減するため、保険料などを財源に支払われる「診療報酬」のうち、診療所に入る報酬の単価を5.5%程度引き下げるよう求めた。

24年度は医療、介護、障害福祉サービス報酬を同時に見直す「トリプル改定」を控える。物価高を背景に診療報酬の引き上げを主張する医療界の反発は必至で、年末の予算編成過程での改定率決定に向けて攻防が激化しそうだ。

財務省の調査で、入院医療を提供しない診療所を運営する医療法人の22年度の平均経常利益率は8.8%に達した。建議は、全産業やサービス産業の平均利益率(3.1~3.4%)と同水準にするよう求めた上で、過度な利益を出す診療所の初診・再診料を引き下げて「診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当」だと指摘した。

診療所の報酬単価を5.5%程度引き下げれば、国民の保険料負担を年間2400億円程度軽減できるとの試算も示した。財務省によれば、診療報酬本体で1%の規模に相当する。年収500万円の人の場合、保険料の支払いを年間5000円相当減らせるという。

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