インフルワクチン、供給に遅れ=「コロナと同時流行」懸念も―専門家・学会など

今シーズンのインフルエンザワクチンについて、厚生労働省は昨季よりも遅いペースで供給されるとの見通しを示した。昨季は流行しなかったインフルエンザだが、今季は新型コロナウイルスと同時流行する可能性があると専門家などが懸念しており、ワクチン接種や感染対策の徹底を呼び掛けている。

厚労省によると、今季の供給量は全体で約5130万~5580万人分。昨季より少ないものの、例年と同程度の確保が見込まれている。一方で世界的に原料などが不足しており、ワクチンが出回るのは例年より遅れる見通しだ。

昨季のインフルエンザの推定患者数は約1万4000人。例年の1000万~2000万人程度より大幅に少なく、2019~20年のシーズン(約728万5000人)と比べても500分の1以下だった。国立感染症研究所は「流行が発生しなかったと考えられる」と結論付けた。

一方、今季の流行は見通せない状況だ。日本ワクチン学会は6月、「コロナとインフルエンザの流行期が重なることで医療体制の逼迫(ひっぱく)が懸念される」との見解を示し、高齢者や乳幼児、妊婦などは「特に接種が推奨される」とした。感染研の脇田隆字所長は今月8日の記者会見で「昨年はコロナとの同時流行を懸念したが、なかった。今年の流行を見通すのは非常に難しい」と述べている。

川崎医科大の中野貴司教授(感染症学)は「流行がなかった分、幅広い世代で感受性者(免疫がなく感染する人)が増加して今年は感染が広がる可能性がある」と指摘。インフルエンザワクチン接種を積極的に検討するとともに、「冬は新型コロナやインフルエンザ以外にも感染症が流行する。感染対策を続けてほしい」と話した。

時事通信社

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