家族介護の負担軽減=アルツハイマー薬承認で期待

製薬大手エーザイと米バイオ医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」が米国で承認された。認知症は家族による介護の労力と費用の負担が重く、高齢化が進む中で深刻な社会問題となっている。治療薬の登場でこうした負担の軽減が期待される一方、高額医療費が財政を圧迫するとの懸念もある。

日本の認知症人口は2012年の462万人から25年には730万人に増加し、このうち3人に2人はアルツハイマー病との推計もある。エーザイなどの試算では、アルツハイマー病にかかる費用は18年時点で12兆円を超え、半分以上が家族介護による負担だ。

アデュカヌマブは昨年12月に日本でも新薬として申請されており、患者や家族の期待は高い。医療費の膨張で国の財政負担が増す恐れはあるが、エーザイは「家族の介護費用を大きく減らす価値がある」(内藤晴夫最高経営責任者)と強調する。

企業収益への貢献も大きい。アデュカヌマブの対象患者数は米国で100万~200万人、日本では100万人程度と想定される。米国の薬価で、1年の治療費用は1人当たり約5万6000ドル(約610万円)。10万人が治療を受ければ、年間の売り上げは6000億円を超す計算だ。

医薬品は通常、売上高が1000億円を超えると大ヒットの世界だが、アデュカヌマブはピーク時1兆円規模に達するとの観測も浮上している。

8日の東京株式市場では承認を受け、エーザイ株に買い注文が殺到。株価は制限値幅の上限となる前日比1500円高の9251円と年初来高値を更新した。

時事通信社

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