心筋や心臓血管のもとに=細胞に遺伝子導入で―再生医療に期待・筑波大や慶大

心臓の形成に重要な遺伝子を発見し、この遺伝子を細胞に導入するだけで心筋や心臓血管のもとの「心臓中胚葉細胞」に変えることができたと、筑波大と慶応大、産業技術総合研究所の研究チームが発表した。9日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に論文が掲載される。

筑波大の家田真樹教授は「将来は心筋梗塞や拡張型心筋症の再生医療を実現したい」と話している。心臓のポンプ機能を担わない線維芽細胞にこの遺伝子「Tbx6」を導入し、心臓中胚葉細胞を経て心筋や血管の細胞に変えることができれば、ポンプ機能の回復を期待できる。

研究チームはTbx6遺伝子の導入実験で、マウスの線維芽細胞のほか、ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を心臓中胚葉細胞に変えることに成功。心臓中胚葉を心筋や血管の細胞に変えることもできた。現在、ヒトiPS細胞から新薬開発試験などに使う心筋細胞を生み出すには高価な薬剤が必要なため、コストダウンにつながる。

家田教授はこれまで、心臓の線維芽細胞にTbx6とは別の遺伝子群を導入し、心筋細胞に直接変える実験に成功してきた。しかし、患者に応用するには、心筋細胞を増やすほか、血管と一緒に組織として再生させる課題があった。Tbx6遺伝子で心臓中胚葉細胞に変える方法により、課題を解決できる可能性があるという。

時事通信社

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