近赤外線で脳深部を刺激=疾患治療など応用期待―理研

理化学研究所などの国際研究チームはマウスを使った実験で、近赤外線を体外から照射し、脳深部の神経細胞の活動を制御することに成功した。従来は脳内に光ファイバーを挿入する必要があり、医療への応用は難しかったが、新手法は精神疾患などの治療法開発にもつながると期待される。論文は8日付の米科学誌サイエンスに掲載された。

光を浴びると活性化するたんぱく質を使い、狙った神経細胞の活動を制御することで、神経細胞の働きや記憶、疾患などとの関係を解明する「光遺伝学」と呼ばれる手法が広がっているが、刺激には可視光を使うため、脳深部の神経細胞を対象にするには脳内に光ファイバーを挿入する必要があった。

理研脳科学総合研究センターの陳碩・基礎科学特別研究員らは、透過力の高い近赤外線を吸収し、青や緑の可視光に変換するナノ粒子を開発。これを脳深部に注射した。その上で、生体を透過する近赤外線を体外から照射すると、脳内のナノ粒子から青や緑の可視光が放出され、狙ったたんぱく質が活性化。従来手法と同様に、生きたマウスの脳内でドーパミンの放出量増加やてんかん発作の抑制などの効果がみられた。

時事通信社

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